IT導入プロジェクトでは、非常にたくさんの問題、課題が発生します。たとえば、こちら。
- サービス開始までの工数を見積もり直した結果、当初の予算では全然足りないことが判明して、対策に困っている。
- 現在、取り組んでいるプロジェクトの進捗が遅れていて、このままでは納期に間に合わなさそうだ。
- 試験工程でバグが多発していて、収束のメドが立たない。
いかがでしょうか。
では、問題が発生する原因は何でしょうか。そうです、問題が発生する原因はいろいろとありますが、一番の原因は
「納品直前まで現物が見えないから」
ですよね。
オーダーメードでゼロから開発するスクラッチ開発の場合には、テスト工程に入るまで、システムの現物を見ることはほぼできません。
実際にテスト工程になってから、想定したモノと違う!と気づいても、どうしようもなくなります。
また、
「IT導入が失敗した」
とお客様から評価されてしまう理由の1つがこれです。
「IT導入前に期待した効果が得られなかった」
- システムを導入したら、もっと業務の効率化がはかれる、と思っていた。
- スタッフを何名、削減できると思っていたけれども、実際には増やして対応せざるをえなくなった。
などなど、IT導入による悪影響もたくさんあります。
では、こうした事態を防ぐためにはどうすればよいでしょうか。
IT導入で起きる3大トラブルはこちら。
- 予算オーバー
- 納期遅延
- バグの多発(品質不良)
これら、IT導入で起きる3大トラブルの原因と対策を、整理していきます。
【原因と対策1】IT導入で予算オーバーする原因と対策
【原因と対策2】IT導入で納期が遅延してしまう予兆と防止策
【原因と対策3】IT導入でバグだらけのシステムを防ぐためには
では、はじめます。
目次
【原因と対策1】IT導入で予算オーバーする原因と対策
IT導入プロジェクトでも、他の仕事と同様に、予算を決めます。プロジェクト期間が短いプロジェクトでは、スタートからゴールまでの予算をまるっと決めてそれを守れるように進めます。
予算オーバーが発生しやすい工程とは
一方で、1年、3年といった長期のプロジェクトの場合、
- 要件定義
- 設計
- 製造
- 試験
といった工程ごとに、予算を分けます。
プロジェクト全体の予算を100とすると、例えば、以下のような配分になります。
- 要件定義 10
- 設計 20
- 製造 40
- 試験 30
さて、この中で、一番予算オーバーが発生するのが試験工程、次が製造工程です。
予算オーバーしてしまう理由
予算オーバーしてしまう理由ですが、
- 試験してみたら、予想外にバグが多かった。
- 試験中に、機能が足りていないことがわかった。
- 試験が計画通りに進まなかった。
というのが上位理由です。
次に、製造工程ですが、
- 設計した結果、当初見積よりも製造するステップ数が多くなった。
- 製造工程が計画通りに進まなかった。
というのが上位理由です。
では、その原因は何でしょうか。
これら、製造工程、試験工程で、予算オーバーになる原因は、一番最初の工程である「要件定義工程」に原因があります。
要件定義工程で、
- 本来、作るべき機能が洗い出せてなかった。
- 機能は洗い出せたが、詳細化が不十分だった。
という状況で工程を終了してしまったためです。
予算オーバーしないために、有効な対策
では、予算オーバーしないためには、どうすればよいでしょうか。
要件定義工程も、あらかじめ、工程終了の期限が決まっているため、強制的に終わらざるを得ない状態になりがちですが、そうならないように、事前にマネジメントしておく必要があります。
期限がくるよりも少し前に要件定義の状態を評価して、このままでよいのか、それとももっと時間をかけて要件定義を詰めておく必要があるか、判定するステップを入れます。
そのためには、要件定義の関係者が集まって、要件定義書をレビューして、そして、
- 足りてない要件がないか
- 要件の詳細化は十分か
という観点で確認していきます。
分量によっては、1日、2日とかかるかもしれませんが、後工程になると、10日、20日の手戻りになってしまう可能性があります。なので、この早い段階でのレビューが非常に重要な位置付けとなります。
次は、「IT導入で納期が遅延してしまう予兆と防止策」について解説していきます。
【原因と対策2】IT導入で納期が遅延してしまう予兆と防止策
IT導入で納期が遅延してしまう3大理由は、何でしょうか。
IT導入で納期が遅延してしまう3大理由は、以下のようになっています。
(1)開発中に、大量の仕様変更が発生する。
(2)そもそものスケジュール計画が甘い。
(3)技術力が不足し、品質が悪い。
順番に見ていきましょう。
(1)開発中に、大量の仕様変更が発生する。
これの予兆は、製造工程や試験工程に入ってから見えてきます。
- 作り始めた段階で、プログラム間で不整合が起きる
- 製造工程で、設計書の不具合が多発する。
- 試験工程で、実物が見えてきた時点で、こんなものを発注したのではない、と気づく。
こうした事象が予兆です。
こうした事象が発生し始めると、その対策に時間が取られます。
- 不具合の原因追求
- 設計書の見直し
- そもそもの要件が違ったのではないかの検証
などなど、前向きではなく、ほぼ後ろ向きの対応ばかりになってしまうのですね。
時間が奪われてしまいます。
(2)そもそものスケジュール計画が甘い。
IT導入は、ほぼ毎回、初めてのことが多いです。そうすると、このプログラムを開発するために、1日で終わるのか、1週間必要なのか、を見積るのが非常に難しいのです。
製造工程が始まった段階で、1日、遅れます。でも、残業で対応します、土日出勤で対応します、という報告があがってくるのが予兆です。
スケジュールは、どうしても短く計画してしまいます。最終的な納品期限があるからです。ですが、それが逆にアダになってしまいます。
なので、要件定義や詳細設計が終了した段階で、それ以降のスケジュールが妥当か、見直すというステップが重要になります。
当初から、「リスクバッファ」として、計画の1割、2割を多めに入れておく、という方法も有効です。
(3)技術力が不足し、品質が悪い。
これは非常にわかりにくいですエンジニアの技術力を測る物差しが少ないからです。
今の社内体制で問題ないのか。今、委託しているシステム会社でやりきれるのか。
この場合、テスト工程で予兆が出ます。
- 簡単なプログラムでバグがでる。
- 簡単な仕様部分で、齟齬が発生する。
こうした予兆がでると、体制に問題がないか、確認する必要が出てきてしまいます。
「え、こんなのもできないの?」と。
これを防止するには、2つの方法があります。IT導入プロジェクトの着手前に、
- これまでの実績を確認する。
- 簡単な仕様とプログラムを先行して作る。
の2つです。
こうして、これまでの実績と、今後のプロジェクトをテストしてみることで、十分な技術力があるのかを確認することができます。
以上、IT導入で納期が遅延してしまう3大理由。いかがでしたでしょうか。
次は、「IT導入でバグだらけのシステムを防ぐためには」について解説していきます。
【原因と対策3】IT導入でバグだらけのシステムを防ぐためには
IT導入でバグが大量に発生する理由は、何でしょうか。
IT導入でバグが大量に発生する理由は、以下のようになっています。
(1)要件定義で仕様が固まりきっていない。
(2)技術者の仕様理解の不足
(3)品質管理に関するスキル不足
では、順番に見ていきましょう。
(1)要件定義で仕様が固まりきっていない。
実は、バグにも2種類あります。
- 仕様が間違えている仕様バグ
- 仕様通りに製造されていない製造バグ
この2種類のうち、仕様バグが多いのは、要件定義で仕様が固まっていないからです。あいまいな記述、間違った内容の要件定義書になっていないか、改めてレビューが必要です。
(2)技術者の仕様理解の不足
製造バグが多発するのは、実装している技術者に問題があります。仕様をプログラムに落とすのが製造工程ですが、このときに、仕様の理解が甘いと、違うプログラムができてしまいます。
これを防ぐには、技術者を増やすか、違う技術者を調達する必要があります。
(3)品質管理に関するスキル不足
仕様バグと製造バグの両方が頻発する場合には、委託先自体の品質管理に関するスキルが足りていない場合が多いです。
品質管理は、実は非常に難しい技術です。
上流工程から下流工程まで、一貫して、品質を作りこむためには、それぞれの工程に応じたアクションが必要だからです。
IT導入の世界には、PMPやPMBOKといったマネジメントの標準的な考え方があるのですが、この考え方をマスタして実践している技術者は全体の1割もいないのが実情です。
その対策として、PMPやPMBOKを専門に扱っている技術者や会社に委託する方法があります。
IT導入でバグが大量に発生する3つの理由。いかがでしたでしょうか。
おわりに
これまで、3ブロックに分けて、IT導入プロジェクトで起きやすい3大トラブルの原因と対策をお伝えしてきました。これらの対策が、工程のできるだけ早い段階、できれば要件定義工程で打てれば、IT導入の成功確率はぐっとあがります。
もし、現在、取り組まれているIT導入、システム開発で、進捗が遅れている、品質が悪い、コストが予算を超えそう、といった課題を抱えてらっしゃる場合には、当社がすぐにお役に立てる可能性があります。
また、外注、業務委託委託されている2次請けのシステム開発会社に対して、ご不安な点、心配な点がある場合にも、当社がお役に立てる可能性があります。
当社では、IT導入を検討されている企業様、もしくは、IT導入プロジェクトの進行中で、トラブルが発生している企業様のご支援をしています。
たとえば、直近では、1年間のプロジェクトで既に4ヶ月も遅れているプロジェクトを立て直して、無事にサービス開始までこぎつけてきました。
もちろん、平坦な道ではないのですが、やるべきことを整理して、優先順位をつけて、多くのメンバとひとつの方向を向いて、前に進む、ということを毎日、地道に行なった結果で、予定通りに納品できました。
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